ブリード

クライオニクス(人体冷凍保存)

あるスマホニュースが僕の視線を奪い、誘導されるようにタップした。
「ロシアで蘇る日を待つ日本人女性も…」

ロシアに、再び生を得る日を待ちわびる56人の遺体が冷凍保存されている施設があるそうです。
死期が近づき死を意識した人達が、科学が発展しているであろう未来に望みを懸け、その身そのままに蘇生されるのを夢見て、遺体の冷凍保存を志願するそうです。
遺体の多くは自然死を迎えた高齢者のもので、そのほとんどが生前に保存処置を志願しているそうです。
中には遺族が独断で遺体の保存を依頼するケースもあるそうですが、全身3万6000ドル・頭部のみ1万8000ドルで基本100年間の冷凍保存を依頼することができます。
保存方法は、血管の破裂を防ぐため全ての血を完全に抜き、代わりに不凍液を注入した後、液体窒素に逆さまに漬けられた状態で保存されるようです。

冷凍保存におけるポイントは「自然死」した遺体を冷凍保存し、科学が発展した未来に解凍後蘇生が行われるということ。
現段階では恐らく自我は消滅し、容れ物である肉体だけを保存し、画期的な何らかの方法で蘇生を行うという感じでしょうか。
自我が消滅している以上、完全な蘇生は叶わない気もしますが、調べてみると、別路線で「マインドアップロード(精神転送)」が試みられているそうです。
脳の情報をデジタル化し、PCにアップロードすることにより、意識・思考が永遠に生き続けられるという概念です。
人体蘇生法とマインドアップロードとの融合が、本当の意味での蘇生になるのかなと解釈しています。

マインドアップロードが確立されない限りは完全な蘇生は叶わないでしょうし、「人工的に加工された自我」を蘇生時に肉体と関連付けられることになるのではないでしょうか。
あるいは絶命後、そのままの状態で冷凍保存されるので、記憶と人格の復元までをも実現出来るようなテクノロジーが開発されているのかもしれません。
人体冷凍保存自体が倫理的にギリギリのラインでしょうから、生前に仮死状態にするわけにもいかず、自然死後に冷凍保存が行われます。
そう考えるとやはり記憶と人格の復元がキーとなり、マインドアップロードとの融合が不可欠になるように思われます。
考えただけでワクワクしてきますね(笑)

しかし、自分がそのポジションに立ちたいかというと正直疑問符が付きます。
確かに自分が知る由のない、科学が恐ろしく発展した未来を見てみたい気持ちはありますし、達観したくもあります。
でも、冷静に考えて、衆人環視の中、何の身寄りもなく、孤独の海を泳ぐような生き方を強いられるのに耐えられるでしょうか?
しかも、寿命を全うし、絶命時の年老いた状態での蘇生になるでしょうから、意識と現実のギャップに苛まれるかもしれません。
ましてや自分の意志とは裏腹に、遺族の余計な同情から冷凍保存され、蘇生された日にゃあ堪ったもんじゃないでしょうね(笑)
ふと目を覚ますと、自我はあるのに異物で溢れた異世界に突如放り込まれたような、そんな感じでしょうか?
恐怖におののき、僕なら再び眠りにつきたくなると思いますw
まあ、現在の思考・肉体のまま近未来を謳歌出来るか、あるいは精神だけ温存して新たな肉体(理想的な)でやり直せるのなら話は別なのかもしれませんが。

いや、もしかするとそもそも自我の復元を前提に考えるのがいけないのかもしれないですね。
自分の肉体に「生まれ変わり」を望むのなら、全く別の人格を形成することをむしろ願っているのかもしれません。
自分の意識とはかけ離れた所で、己の肉体が更なる寿命を全うすることを望んでいるのでしょうか?
僕には到底理解が及ばないけど。
結局の所、未来も過去も、現在を軸に自由に行き来出来るのであれば去来したいけど、断定的にその身を特定の時間軸に置くのは、感覚的にも現実的ではないですね。

と、ここまでダラダラと書き連ねましたが、どうも改めて別の視点で検索を掛けてみると、人体冷凍保存は、現代の医療技術では助かる見込みの無い不治の病に罹患してしまった人が、治療法が確立された未来に蘇生されるのを望み、冷凍保存を希望するケースもあるようです。
自分自身、過去に耳下腺癌に罹患しているので、気持ちはよく分かりますし、ましてや例えば我が子がその立場で「未来を生きたい」と願うならば、実直に向き合うだろうと思います。
置かれた立場によって良いも悪いも、倫理でさえも超越した願望が芽生えるのかなと思います。
まあ、仮に解凍蘇生法が確立されたとしても、果たして倫理的に大衆化されるのかという疑念は拭えませんけども。
蘇生における実経費は免除される代わりに、モルモットのように実験台にされ、哀れな顛末を迎える可能性があることも否めないでしょう。
もし技術的に記憶や人格の復元が可能になるのならば、「脳死」という概念も無くなるのかもしれませんね。
可能性がある限り、どんな方向性のものであろうと希望を抱くのは大事なことだとは思います。
信心するのも、藁にもすがる思いに浸るのも、自由だと思います。
どんな事柄であろうと、不可能の証明がなされない限りは追求する姿勢が大事だと思いますし、尊重したいです。

さて。
飼育の方ですが、UB67SAOGN x ティーガーの早期蛹化第一号がついに出ました。







幼虫期間11ヶ月の最終体重110g、前蛹体重が97gの早期蛹化個体です。
本血統は高還元・超長角を意識した血統で、画像の通り体重の割に優れた胸角の伸びを体現してくれます。
この血統は全体的に上手く飼育できており、孵化後11ヶ月現在130g台が4頭、120g台は多数います。
今現在蛹室を6頭ほどこしらえていて、その中に128gの幼虫(前蛹体重103g)もいます。
幼虫期間こそ短いですが、どれ程の形状で蛹化してくれるのか非常に楽しみです。
前季の最大不全個体は幼虫期間18ヶ月程で最終体重144gの前蛹体重122g、蛹化時全長が193.5mmの胸角長113.86mmでした。





今見ても素晴らしい数値且つ形状ですが、今季は幼虫体重だけで量るならば、同一あるいは凌駕しそうな個体が複数頭います。
自分の一番の課題である「幼虫期間」が目下の試練ではありますが、期待に胸を躍らせざるを得ません。

現段階での最大個体↓




今季500頭前後を♂♀問わず全て小ケースで飼育していますが、改めてチャレンジして良かったなと思っています。
前季より飛躍的にアベレージが上がっているのもそうですが、何よりもぼんやりとしていた飼育に対する考え方と意識が明確なものになってきているからです。
500頭全てに同じ飼育を施している訳ではなく、3ラックそれぞれの棚板単位で少しずつグループを作り、飼育方法に変化を付けながら体重遷移を見定めています。
すると、同腹の同時期孵化の幼虫でも、ちょっとした加減で歴然とした差が見て取れます。
同じケース・同じ室内で飼育しているにも関わらずです。
僕が頑なに小ケース飼育に拘るのは、意地などではなく、計算した上で省スペース飼育を試みているのは、過去の記事でお分かり頂けるのかなと思っています。
そして、何よりも僕が期待したのは、本来デメリットである「小ケース飼育の不安定さ」を、逆手に取ってやろうと思い至ったことです。
言葉は悪いですが、大きいケースでの飼育は「誤魔化しが効く」んですね。
誤魔化しが効くと潜在的なマイナス要因をどうしても見落としがちになります。
センスが良い人は大きさ故のメリットの方が勝り、突出したアベレージを叩き出しますが、僕は凡人です。
闇雲にやった所でたかが知れているでしょうし、仮にそこそこの成績を出した所で頭打ちすることは明白です。
まあ、まぐれで好成績を収めることはあるのかもしれませんが。

でも、小ケースでの飼育はそうはいきません。
ちょっとした判断ミスや思い込みが致命的な失策となり、痛いしっぺ返しを食らうことになります。
それはつまり、今試していること一つ一つが良くも悪くもきちんと大きく反映され、数字で証明されるということです。
特に失敗に対する表れが一目瞭然で、失敗要因を容易に把握することが出来ます。
これは僕にとって大きなメリットです。
しらみ潰しに自分の欠落点を補完していくことが出来るからです。
こうして、色々な飼育バリエーションを試しては結果を掌握し、各セクションの現段階の最適解を得つつあります。
次々と湧き上がる疑問を片っ端から洗い、選択肢をこれでもかとどんどん潰していきます。
前季より今季が圧倒し、今季より必ずや来季ハイアベレージをあげれるであろうと確信しています。
そして、一通りの最適解を得た再来季に、中ケースで本当の意味での超大型を狙ってみたいと算段しています。
来季が恐らく小ケース飼育の一つの節目、集大成となるでしょう。

最後にアンビタル系で好成績をあげそうな2ラインの幼虫紹介。
アンビタル零I -FFUB67 x Y-170 – T117







アンビタル零I x FFUB67 インライン






このレベルの幼虫が多数いるので、本当に楽しみです。
願わくば不全が少ないことを祈願したい今日この頃。。。

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